One STEP
あたしの紙コップを見たら、いつの間にか飲み終えたはずのオレンジジュースが入っていた。
えっ…
犯人はもちろん藤田先輩。
「………。」
まぁ、ジュースは嫌いじゃないからいいんだけれど…
もう1リットルなくなりそうだ。
これは夏沙先輩が戻ってきたらマズいんじゃないだろうか?
そう思うと、やはり飲む気になれない。
「はいはーい、次松下ね~」
寺原先輩のコップにジュースを注ぎながら言う。
あたしの背筋が自然とピーンと伸びた。
「…帰っていい?」
「香澄ちゃんに自己紹介だけでいいんだからしてよ?」
立ち上がる先輩を、必死で寺原先輩が押し止めようと頑張る。