One STEP



あたしの紙コップを見たら、いつの間にか飲み終えたはずのオレンジジュースが入っていた。



えっ…



犯人はもちろん藤田先輩。



「………。」


まぁ、ジュースは嫌いじゃないからいいんだけれど…



もう1リットルなくなりそうだ。


これは夏沙先輩が戻ってきたらマズいんじゃないだろうか?



そう思うと、やはり飲む気になれない。



「はいはーい、次松下ね~」



寺原先輩のコップにジュースを注ぎながら言う。



あたしの背筋が自然とピーンと伸びた。



「…帰っていい?」



「香澄ちゃんに自己紹介だけでいいんだからしてよ?」



立ち上がる先輩を、必死で寺原先輩が押し止めようと頑張る。




< 196 / 528 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop