One STEP
体中の力を、声に。
「せ…先輩と、仲良くなりたいんですっ!!」
「…はぁ?」
何こいつ、とでも言いたそうに目をまん丸にする先輩。
あたしは呼吸を整える。
「だ、だから…」
「あたしはね」
先輩はあたしの声を遮り、ジっとあたしを睨んだ。
まるで蛇に睨まれた蛙状態。
金縛りにあったかのように、体が動かなかった。
変な汗が伝う。
ゴクリと、生唾を飲み込む。
「あんたみたいな腰抜けは嫌いなの。一度言ったことをすんなり変える奴も嫌い」
そう言って、力いっぱいあたしの手をはらう。
あたしはただ、呆然と立ち尽くしたまま。