One STEP
「分かる?それはあなた」
ドクン、と。
心臓が大きく揺れた。
「嫌いなの」
完全に、拒絶された。
そのまま踵を返して、昇降口へと向かって行く松下先輩。
〝嫌いなの〟
冷たい声が、脳内に響く。
脳内に押し込められた、この言葉の抜け道がない。
反響して、反響して…
グっと拳に力を入れる。
あたしは――――
「確かにっ…あたしは矛盾しています!それは謝ります」
負けちゃダメだ。
恐い、そんな理由で逃げちゃダメだ。
拒絶されることなんて、分かっていたはず。
分かっていて、追いかけた。