One STEP
「でも…っ、先輩たちみたいにキラキラしたいんです!何も取り柄のないあたしだけど…輝きたいんです!もう、何からも逃げたくないんです!!」
この声は…先輩には届かない?
先輩は、足を止めることなく進んで行く。
だめだ…違う、こんなことが言いたいんじゃない…っ。
弾かれたように顔を上げ、必死で言葉を紡ぎだす。
ここで…引くわけには…っ。
グっと拳に力を込めて、全身の力を。
あたしの、勇気に。
「…っ頑張ります!!絶対逃げません!!だからっ―――」
「文化祭までよ」
足を止め、松下先輩は冷ややかな声でそう言った。
「ぶんか…さい?」
先輩は振り向き、やはり冷ややかな声で。
「気持ちは分かった。じゃあそれを示して。次は文化祭での発表よ」
そこで、あたしの演技力を見せろ。
きっと、そう言ったんだ。
文化祭で試される。
不安の波が、一気に体を駆け巡った。