One STEP
陽だまりの部室
「………」
あたしは無言で、先輩の背中が見えなくなるまで見つめていた。
ちょ…ちょっと待って?!
先輩が見えなくなって、今言われたことを思い返してみた。
今は4月。
文化祭まではまだ時間があるけれど、初心者のあたしにとっては短すぎる時間だ。
人前に出るのが苦手。
経験ゼロ。
こんなあたしが…?
ってあたし1年だけど出るのかな…?
鈍器で頭を殴られたような痛みが走る。
あたしは1人、その場に立ち尽くしていた。
「あ、荒木発見っ」
「…ゆた先輩」
階段から下りてくる先輩。
あたしがこの言葉を発した瞬間、目をキラキラと輝かせ、あたしの元に駆け寄ってきた。