One STEP
何かを思い出したように、お姉ちゃんはポンと手を合わせた。
「演劇!見に行ったんでしょ?どうだったの?」
ずずずずずい、っとあたしに詰め寄るお姉ちゃん。
なぜかウキウキ。
一方あたしは嫌な汗がダラダラ流れていた。
とめどとなく物凄い勢いで。
い…言いたくない言いたくない…。
演劇部入った、なんて死んでも言えない。
特にお姉ちゃんのいる前では絶対。
バカにされるのがオチだ。
確実に大爆笑になるに決まってる。
絶対言えない。
恥ずかしすぎる。
「あ~…えと、えと…楽しかったよ」
ご飯をかき込みながら言葉を濁した。