One STEP
予想範囲内だけれどやっぱりムカついてしまう。
頬なんて膨らませてそっぽを向いてみるけれど、
「香澄は何がいい?」
そんなお母さんの一言で、あたしは顔だけ向けるとボソッと呟いた。
「…………………………………チョコ」
やはりあたしにはこの家の誰にも勝てない。
前から分かっていた事だ。
まずケーキ1つで嬉しがってしまうあたし自身が子供すぎる。
分かっていてもしょうがない。
「あそこの美味しそうなケーキ屋さんに行ってみようかしらね~」
「イエイイエイ♪明日はデザートモンブラーン♪」
「早く帰って来よっと」
まるで何もなかったかのように食事再開。
結局みんなケーキなんだ。
あたしが演劇部に、とかそんなの別に関係なくなった。