One STEP
ガララ、とドアを開ける。
消毒液のニオイが鼻をかすめる。
「せんせーい、湿布くださーい」
そう言った琴子の0.5秒後。
目からビームが出た。
「藤田先輩?!」
え?
こんなグッドタイミングに?
あたしは一歩遅れて保健室に入った。
長椅子に座って、治療を受けている男の生徒。
後姿だけど分かる。
藤田先輩がいた。
「藤田先輩?」
「おぉ香澄ちゃんじゃないか」
膝を擦りむいたらしい。
血が滲み出ている。
みるからに痛そう。
あたしは顔を顰めた。