One STEP
「大丈夫ですか?」
琴子は先輩に駆け寄る。
あたしも琴子に続いた。
「あぁ、えーっと…」
キラリラリーンっと琴子の目が光る。
「琴子です!」
にっこにっこと話す琴子。
もちろん、狙いはアレ。
凄いと思う。
自分の狙いのためなら何にでも直撃できちゃう、みたいなの。
あたしより凄い。
ちょっと尊敬の瞬間だったりする。
「痛そうですね」
あたしは静かに藤田先輩の隣に腰掛ける。
「あぁ、ちょっとドジってね。香澄ちゃんはどうしたの?」
「…琴子にやられました」
真っ赤になった手を見せる。
藤田先輩はあたしの手を見て、小さく笑った。