One STEP
自分を越えるために
胸の高鳴り
季節はあっという間に夏本番へと差し掛かった。
耳障りな蝉の鳴き声が響き渡る。
ただでさえムシムシと暑い夏。
蝉の鳴き声も追加されて、イライラが増すばかりの今日この頃。
「う゛ぅぅーあづいよぉー…」
机に突っ伏しながら、夏沙先輩は死にそうな声を出す。
謎なのだが演劇部の部室にはクーラーなし扇風機もなし。
なんとも言えない地獄の中にあたし達部員はいる。
暑い、という言葉しか口から出てこない。
とろけて死にそう。
比喩なんかじゃなくて、本気でそう思う。
カキ氷が恋しい。
アイス食べたい。
みんな死んでいた。
そんな中でも藤田先輩と寺原先輩は「暑い」等と零すことなく何か話しているみたい。
松下先輩は外見内面通りの涼しい顔で読書中。