One STEP
「ジュース買ってこよっとー」
ダルそうに立ち上がるゆた先輩。
それを見た八木先輩も立ち上がる。
「俺も行く」
「他に誰か行きますー?」
辺りを見渡しながらゆた先輩は言う。
あたしも買おうかな、と思って鞄の中から財布を取り出そうとして固まる。
さ…いふ…
サーっと血の気が引いていく。
ありえない。
こんな真夏に財布を…
…わ、忘れた。
「俺も行くわ」
「夏沙も行くよっ!」
次々に立ち上がる部員たち。
あたしは1人、顔を真っ青にして俯いていた。