One STEP
どうしよう…絶対もたないんだけど…
かなりのピンチ。
金を借りるという方法があるが、あたしは何故かそれがとても嫌。
人に借りを作るのが嫌だからかもしれない。
なんとか耐えるしかないと思ったあたしは、我慢だあたしっ!!なんて自分に言い聞かせた。
「かすみんはー?」
行かないの?と、夏沙先輩が顔を覗き込んできた。
あたしはバレないように、顔を上げる。
「あっ、あたしはいいです」
精一杯の笑顔。
実際、喉が渇いてやばかったりするけれどどうしようもない。
ガックリと静かに肩を落としていると、ふいに名前を呼ばれた。
「香澄ちゃん」
「…へ?!」
藤田先輩が何かをあたしに投げてきた。
あたしはソレが落ちないように全て掴み取る。