One STEP
あたしの掌には100円玉が3枚おさまっていた。
「あたしと藤田くんの、お願いしてもいいかしら?」
寺原先輩は顔を上げて笑う。
え…でも…300円って…
学校の自動販売機だ。
2人分なら200円で普通に足りる。
訳が分からなくて掌の300円を見つめるあたしに、藤田先輩は優しくこう言った。
「財布ないんでしょ?誰にだって失敗はあるんだから、こういうときは誰かに頼っていいんだよ~」
バ…バレてたの…?
「な…なんで…」
上手くやったつもりだけれど、バレバレだったよう。
「鞄開けてから顔が青ざめるまで、全部見てた」
そう言って、藤田先輩と寺原先輩は笑う。
あたしは恥ずかしくて俯いてしまった。