One STEP
「…じゃーあたしも」
「へっ?!」
突然松下先輩から飛んできた―――100円玉。
なんとか上手くキャッチできたけれど、ビックリして一瞬呼吸が止まってしまった。
松下先輩は本から顔を上げ、
「緑茶で。よろしく」
そう言って、再び視線を本に戻した。
そんな光景を見た寺原先輩は、小さく笑っていた。
あたしもこの中にちゃんと入れるかもしれない。
仲間と呼べる人たちができるかもしれない。
ワクワクする。
ドキドキする。
表せない感情が、ゆっくりゆっくり溢れ出す。
お姉ちゃんの友達のように、あたしも先輩たちが特別な存在になれるかな?
…なって、ほしいな。
ただ純粋に、そう思った。