One STEP
あたしはソロリと、遠慮がちに低く手を上げた。
「香澄ちゃんどうしたー?」
「あの…あのですね」
あたしはモゴモゴと言葉を濁す。
聞くべきか聞かないべきか迷ったが、聞いてみることにした。
分かっていること。
だけど、もしかすると小さな可能性があるかもしれないから…!!
視線を気にしながらも、小さく口を開いた。
「あたしはその…文化祭とやらの発表に出るのでしょうか…?」
「当たり前でしょ」
はい即答。
もうとっくに決まっていたみたい。
はい分かっていましたもちろんですよ。
〝1年生はまだ出ないよ〟
そんな淡い期待を持って、返答を待っていたあたしはショックでガックリと項垂れた。
分かっていたけれど分かりたくなかった。
知りたかったけれど知りたくなかった。