One STEP
そこには笑顔の弥生先輩。
先輩の笑顔はとても和む。
辛いランニングなどの後でも、先輩の笑顔を見ればスッキリするんだ。
毎回凄いパワーを貰っている。
人から好かれるわけが分かる。
「…弥生先輩」
「ん?なあに?」
あたしの隣に座って、タオルで額の汗を拭いている先輩が優しく微笑む。
「荒木さんって呼び方…なんか嫌です」
ちょっぴり恥ずかしくて俯いてしまった。
恥ずかしい。
こんなどうでもいい事を言ったのは初めてだ。
どうでもいい事。
だけど、嫌だった。
なんたって、あたしは後輩だし…それに〝さん〟付けって、厚い壁があるように思ってしまうんだ。
「え…?」
「あたし後輩なんですよ…?」
プックリ頬を膨らませ先輩を見つめる。