One STEP
ロの字に並べられた長い事務用の机。
パイプ椅子に座っている、演劇部員と見える人たちが口々にこの先輩を褒め称えた。
ちょっと待ってください!!
本当に待ってください!!
本当に泣けてきた。
視線が痛い。
こんな少人数に見られるだけでも、恥ずかしくて泣きたくなる。
あたしはやはり人前に出るのが苦手。
「ま…待ってくださいっ!!あたし入るなんて一言も言ってないです!!」
本当に無理。
無理なものは無理。
あたしにできるはずがないもの。
できない事はしない方がいい。
やるだけ無駄なことは分かっている。
だったら初めからやらない方がいい。
あたしは視線を感じながらも、言いたいことは全て言った。
これがあたしの性格。
自分を殺してまでしてしたいことなんてない。
生意気な1年って思われてもしょうがないと思っている。