One STEP
瞬間、ガバっと抱きつかれた。
「へ?!」
ビックリして目を見開くあたし。
抱きついていたのは夏沙先輩。
「やーっぱりかすみんの声好きぃー♪」
え…?
あたしは夏沙先輩に抱きつかれたまま固まった。
そんなあたしに、先輩たちは口々に言う。
「うんうん。確かにいいね~」
「俺も同感」
え、え…?
「いいよ香澄ちゃん!!名前通り澄んでいる声だ!!」
どこかで聞いたことのある言葉を言ったのは、言うまでもない慎也先輩。
なぜそこで泣きマネをするんだ…?
みんながあたしの声をいいと言う。
それだけなのに、なんだか可愛いと言われるよりも嬉しいのはなんで?