One STEP
あたし達はみんな、弥生先輩の後ろについて家へと向かう。
広い庭を横切ってデッカク構える戸の前で足を止めた。
「お婆ちゃーん?」
少し戸を開け、弥生先輩が声をかける。
するとワンテンポ遅れて、お婆ちゃんらしき方がひょっこり顔を覗かせた。
シワシワで、まさに〝お婆ちゃん〟な感じの人。
お婆ちゃんはゆっくりと立ち上がって、あたし達の前まで歩いてきた。
足取りを見る限り、今も現役バリバリで働いているんだろうと思った。
一歩一歩が逞しい。
「あらら、今日からだっけ?」
「ちょっとお婆ちゃん!忘れないでねって言ったじゃない!」
そうだっけ?と笑うお婆ちゃん。
笑ったときの顔が、弥生先輩とそっくりだと思った。
同時に、先輩と似ていてとても優しそうな人だと思った。
「みなさんようこそ。長く電車に揺られて疲れたでしょう?ゆっくりしていってね」
優しさが滲み出ている。
ちょっぴりあった不安が吹き飛んでいく。
あたしはここで度胸やら何やら、たくさんの事を身につけたいと思っている。