One STEP
しかし、〝海〟
そのワードを聞いた瞬間、みんなの目が光った。
みんな同時に弾かれたように顔を上げる。
ケーキは別腹。
まさにそんな感じ。
ヘロヘロな体はどこへ行ったのか、シャッキーンと素早い勢いでみんな立ち上がった。
もちろんあたしも。
「よっしゃー!!海ー!!」
「海海ー!!もう行っていいの?!」
体力メーターが一気に120MAXまで跳ね上がった。
人間、そういう作りになっているものだ。
海海海!!
今年初めての海!
「よし!それじゃあ解散!」
藤田先輩のその声と同時に、あたし達は家へとダッシュ。
ランニングのあの最後のヘロヘロ走りはどこへ行ったのか。
一分一秒が勿体無い。
この熱くなった体を冷やしたい。