One STEP
初めての気持ち
〝あたしやりたいです!〟
こんな、自ら目立つことをしたのは初めてだった。
今まではずっと影でいいと思っていた。
誰かの次。
誰かの余りもの。
それで良かった。
だってそれが一番楽じゃない?
必要以上に目立たないじゃない?
自分の気持ちを殺してきたわけじゃない。
自らそれがいいと思ってやってきた。
ずっと、このままでいいと思っていた。
ふらふらと、ゆらゆらと。
自分の気持ちが揺れてしまわぬように。
適度にブレーキをかけて。
必要に応じて、少しアクセルを踏んで。
必要以上に関わらないように。
止めて。
止めて。
だってそれが最も楽なことだから。