One STEP
誰にも言ったことがないこと。
これから先も気づかれないだろうと思っていたこと。
臆病なあたしを知ってほしくなかった。
誰にも気づいてほしくなかった。
〝頑張ったね〟
開けてしまった。
閉じたままだった〝扉〟を。
一生開けることはないと思っていた扉を。
それはあたしが思っていたよりも、とっても心が楽になれることだった。
「演劇部、入って良かったでしょ?」
そう言って笑う。
その笑顔にあたしは見惚れてしまった。