One STEP
先輩って、こんなにカッコよかったっけ…?
ドキンドキンと心臓がウルサイ。
耳にハッキリと聞こえてくる。
先輩には聞こえないだろうか?
あたしは先輩の質問に、首を縦に振ることも横に振ることもできなかった。
ただいろんな気持ちの交じり合った、この気持ちが分からなくて俯いていた。
先輩は何も言わないあたしに微笑みかけると、声を上げた。
「よ-っし!それじゃあ始めるよー!!」
先輩の声が響く。
波の音に負けない先輩の声が誰もの耳に入り込む。
この声が好き。
どこまでも響き渡る、アナタの声が好き。
向こうから夏沙先輩の「はーい」という元気な声が聞こえた。