One STEP
あたしは小さく顔を上げる。
パチリと合った、先輩とあたしの視線。
ゆっくりと絡む。
先輩はにっこりと笑う。
いろいろ考え込んでいたせいだろうか、そんな先輩になぜかビックリ驚いてしまった。
だって、先輩の笑顔が太陽みたいだったんだもの。
きっとあたしの顔は真っ赤だろう。
見られるのが嫌で、あたしは先輩に背を向けた。
「じゃあボッカーンっと割ってね」
「…任せてくださーい」
あたしは目隠しをされ、5回ほど回された。
それを見た夏沙先輩が柳沢先輩に怒鳴る声が聞こえた。
つい笑ってしまいそうになる。
あたしはここ、演劇部で、少しでも今の自分を越えることができるだろうか。
今はまだ曖昧で分からないけれどきっと強くなれる気がした。