One STEP
あの紙は…何?
そう思って、あたしは一歩前に踏み出した。
「荒木来たよ」
「あぁ、これ見る?」
そう言って差し出された紙に視線を落とす。
まず最初に見えたのは上に大きく書いてある文化祭発表会の文字。
その下には配役が書かれていた。
【主役、荒木香澄】
次に目に付いたのはあたしの名前。
あたしの…名前…?
意味が分からなくてあたしは硬直していた。
「…え?」
きっとあたしの顔は青ざめていたに違いない。
さっきの嫌な感じはこれだったのか。
…嘘でしょ?