One STEP



「香澄ちゃん、椅子座って?」



頭上から慎也先輩の声。


あたしは言われるがままに静かに席に戻った。



笑顔なんてできない。


これから待ち受ける文化祭。



コワイ。


できない…あたしに主役なんて…



どうして、という思いがグルグルグルグル脳内を駆け巡る。



一際落ちついたところで弥生先輩と美空先輩も登場。


みんな席に座った。



それを見渡した慎也先輩は磁石で紙をホワイトボードに貼り付ける。


そして声を上げた。



「見たと思うけど、今回の文化祭はこれでいこうと思います。誰か意見のある人いますかー?」



そんな先輩の発言に、あたしは何も言わず静かに立ち上がった。




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