One STEP



意見…あるに決まっている。


こんなのを見て、黙ってるわけないじゃない…



「どうして…あたしが…?」



そう呟いた瞬間、部室の空気ががらりと変わったのが分かった。



けれど今のあたしにはそんなことを察する余裕すらなかった。



今にも泣きそうだ。



強くなったはずなのに。


度胸がついたはずなのに。



これぽっちもついていなかった。


やっぱり弱いままなのか。



あたしの名前の前に記入されている主役の文字に、心も体も震え上がっていた。



やっぱりそう来るか。


まさに慎也先輩はそんな顔をして弥生先輩を見た。



あたしは顔が上げられなかった。


俯いて小さく唇を噛んだまま次の言葉をただ待つ。



< 347 / 528 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop