One STEP
すると弥生先輩は小さく息を吐き出すと言った。
「あたしが言ったの」
「え…?」
あたしは小さく顔を上げて先輩を見た。
もしかしたら睨んでいたかもしれない。
いろんな気持ちが混じり合い、気持ち悪い。
コワイ。
みんなの前に立つのが…コワイ。
あたしは影でいいのに…前になんて出なくてもいいのに…
全然進歩していないと思った。
普通ならここで「やります!」そうやる気満々で言うんだろう。
しかし、今のあたしには「コワイ」という感情しかなかった。
情けない…情けない。
「やります!」そう自信満々に言えない自分が悔しい。
情けなくて、辛くて。
こんなあたしから卒業したはずだったのに、一歩も踏み出せていない自分はずっと遠くに取り残されたままだった。