One STEP
あたしは反射的に美空先輩に視線を移す。
美空先輩の目が恐い。
本気で怒っている目だった。
はっと。
気づいたときには遅い。
あたし…何して…
「分かってないのはあなたよ荒木さんッ!!!弥生は―――――」
「やめて美空っ!!」
次に湧き上がったのは、弥生先輩の―――悲痛な叫び声だった。
美空先輩は舌打ちをして弥生先輩を見る。
あたしも反射的に先輩を見た。
「ご、ごめん…ごめんなさい…あたしが悪かったの…だからね、その…ケンカしないで…?」
とてもとても小さな声で呟いた。
俯いているから分からないけど、肩が震えている気がする。
あたしは何とも言えない気持ちになった。