One STEP
「あたし…」
「分かってるよ」
え…?
あたしは少し顔を上げ、先輩を見上げた。
先輩は遠くを見ていた。
そうあの日の美空先輩のように。
ねぇ先輩たちは一体どこを見ているの?
あたしには…それが見えない。
「俺も、香澄ちゃんと一緒だった」
先輩はあたしを落ち着かせるように、ポツリポツリと語りだした。
「1年の頃、一番最初。発表するの恐かったなぁ~」
そう懐かしそうに言う先輩の瞳はとても輝いていた。
キラキラと眩しいほどに。
あたしは見ていられなくて、再び足の間に顔を埋めた。
「きっとさ、あそこにいる全員そうだったと思うよ」
「全員…?夏沙先輩や、弥生先輩もですか…?」
先輩はうん、と頷いて、あたしの隣に座った。