One STEP
先輩の声があたしの心に響く。
「だ…だから…あたしは…」
俯いたまま言葉を零そうとした瞬間だった。
「約束をしたのはどこのどいつだ?」
あたしはビックリして、弾かれたように顔を上げた。
「松下っ」
「美空先輩…」
美空先輩はあたしの前に仁王立ちをしていた。
どどーんとあたしの前に立つ先輩。
でもさっきのように、顔は怒っていなかった。
穏やかな表情でもなかったけど。
あたしの顔が青ざめていくのが分かる。
きっと先輩はあたしを怒鳴りにきたんだろう。
そんなあたしを見て、先輩は小指をあたしの前にズズっと突き出した。
「あたし、指きりげんまんとかしたの初めてなんだけど」
「…え?」
はぁーっと呆れたようにため息をつく先輩。