One STEP
「先輩…弥生先輩は怒ってるでしょうか…?」
不安そうに言うあたしを見て、慎也先輩と美空先輩は顔を見合わせた。
これから部室に戻り、しなくちゃいけないことがある。
怒っていたらどうしよう。
泣いていたらどうしよう。
そんな不安ばかりが渦巻く。
「怒ってはないと思うけど…」
「かなり泣いてたわよ。あたしが悪かったってね」
怒りオーラをビシビシ放つ美空先輩に、思わずひぃと情けない声を出すところだった。
そんなビビリマックスなあたしに更に追い討ちをかけるように、
「今度弥生泣かせたら許さないから」
恐ろしいなんてもんじゃないくらいの顔つきで、ビシっと指をさされ言われた。
まるでその顔は「殺すから」そう言っているみたいに見えた。
いや、先輩は心の中ではそう言っていたに違いない。