One STEP
「美空先輩意地悪ー…」
「何を言うのよ。あたしはただ単に弥生が好きなだけよ」
ふんっとそっぽを向く先輩を横目にあたしは小さく唸った。
やはり先輩はガードが固い。
そう簡単に心を開いてはくれそうにない。
いいもんいいもん…ちゃんと発表できれば呼び捨てで呼んでくれるもん…!!
だから頑張ろう、なんて自分に言い聞かせた。
「ねぇ、そう言えばさっきの指きりげんまんって何?」
思い出したように不思議そうな顔であたしと美空先輩を見つめて慎也先輩は質問してきた。
美空先輩は何かいいたそうだったが、眉間のシワを寄せたまま手で口を押さえていた。
これ、あたしが言えってことなの?
「えと、文化祭でちゃんと発表できたら、あたしのことを呼び捨てにしてくださいって約束したんです」
「あー、なるほどねぇー」
慎也先輩はなにやらニヤニヤしながら満面の笑みで美空先輩を見つめると、美空先輩は居心地が悪そうに少し顔を赤くしながら舌打ちをした。