One STEP
先輩がどう思っているのかなんて考えたってしょうがない。
所詮思い込みでしかないことに一喜一憂していても意味はない。
だからできることは1つ。
認めてもらう。
ただそれだけ。
そうすればきっと先輩と一歩でも近くなれるはず。
「先輩…あたしは弱いです。勇気もなにもありません」
全ての想い1つ1つがあたしに勇気をくれる。
こうやって慎也先輩があたしにくれる1つ1つの言葉も同様。
だから先輩にだけ言っておきたいことを伝えよう。
「でも…強くなりたいです」
あたしの頭に温かい手が乗る。
このぬくもり。
あたしの大好きな温度。
なでなでと優しく撫でられて、あたしの頬はちょっぴりピンク色に染まった。
「できるよ香澄ちゃんなら。俺の目と耳に間違いはない」
先輩の言葉が力になる。
1つ1つの言葉があたしの中に浸透していく。