One STEP
あたしは少し不安になって、先輩の名前を呼んだ。
「俺が力になるよ」
え…?
「俺が隣にいるから。1人じゃないよ」
そう言ってやっぱり先輩はあたしの頭を撫でた。
あたしは嬉しくて嬉しくて顔が綻んだ。
これは先輩のマジック。
笑顔になれる特別な魔法。
部室へと向かう途中、先輩はずっとあたしの手を握ってくれていた。
ちゃんと謝らなくちゃ。
そして…
部室ならはガサゴソと小さな音が聞こえてくるだけ。
あたしはゆっくり深呼吸をしてドアノブに手をかけた。