One STEP



音もなくドアが開く。


みんなが一斉にあたしを見た。



あたしは逃げたしたい気持ちに駆られたが、先輩が手を繋いでいてくれたおかげでその気持ちはすぐに消え去った。



もう逃げない。




「すいませんでした…っ!!!」




あたしは大きく、大きく頭を下げた。



最低なことをした。


許されることではないかもしれない。



今更だってことは分かっているけれど、やりとおしてみたい。


先輩たちが見ている世界をあたしも見てみたい。



とてもじゃないけれど顔なんて上げられなかったから、きつく目を閉じたまま立ちすくむことしかできなかった。



「香澄ちゃん…顔を上げて?」



とても弱々しい弥生先輩の声が聞こえてくる。



「ごめんね…やっぱりいきなり主役は嫌だよね…あたし自分勝手だったね…本当ごめんなさい」



申し訳なさそうに言葉を続ける先輩の声を聞いているだけで苦しくなる。




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