One STEP
違う…違うよ先輩…っ。
あたしは頭を下げたまま小さく首を横に振る。
「また最初からやりなお―――」
「あたしに主役をくださいっ!!!!」
言葉と共に勢いよく顔を上げた。
視界に先輩が映る。
先輩の目は真っ赤に充血していた。
やっぱり泣かせてしまった…
後悔の気持ちでいっぱいになった。
先輩を傷つけてしまった。
あのとても優しくて、人の気持ちがかり考える先輩を。
先輩のことだから、きっと自分を責めたんだろう。
ごめんなさい…っ。
なんて最悪なことをしてしまったんだろう。