One STEP
訳の分からない涙が次々に溢れ出る。
あたしの頬は涙でびっしょりだ。
「香澄ちゃ…本当にごめんなさい」
気づけば先輩はあたしの前に立っていた。
何度も何度も謝り続ける先輩。
違う違う…先輩…違うよ…
あたしはブンブンと左右に首を振る。
「先輩…謝らないでっ…ください…」
先輩は謝る必要はない。
謝らなきゃいけないのはあたしの方だ。
最低なことをした。
最低なことを言った。
「スイマセンでしたっ!!!」
謝っても、先輩の傷は消えない。
それでも時間を戻すことはできないから…
あたしはひたすら謝った。
頭を下げ続けた。
これで意味はあるのか分からないけれど、あたしにはこれしかできなかった。