One STEP
弥生先輩はもうあたしに謝ることはしなかった。
その代わりに、
「香澄ちゃん…一緒に頑張ろうね」
勇気をくれる言葉をくれた。
先輩はそう言ってあたしの頭の上に手を乗せて撫でた。
慎也先輩とは違うぬくもり。
小さな手。
でも流れてくる体温は一緒だった。
前に。
ただ前に進みたい。
先輩たちと一緒に進みたい。
一人じゃ恐くて進めないけれど、先輩たちとなら進める気がした。
「はい…お願いします…!」
あたしはもう一度、大きく頭を下げた。