One STEP
そう言えば、あたしは自分の役しか見ていなかった。
まさかそんなことになっていたなんて。
「久しぶりにラブストーリーなんて書いて見ました」
とても幸せそうに、そして嬉しそうに台本を机に置いた弥生先輩は満足そう。
あたしは石化した。
ただでさえあたしと慎也先輩メインと聞いて気絶しそうなのに、ラブストーリーってどういうこと?!
「ちょ…ちょちょま…!!」
慌てふためくあたしを見て、弥生先輩はにこりと微笑んだ。
「大丈夫よ。エロいのとかはないからね」
まぁそうか。
校内で発表するもんなんだから、そんな過激なことはしないよなぁなんて思ったら、自分はなんて破廉恥なことを考えてしまったんだろうと恥ずかしくなった。
「ふ~ん。ラブなんてかなり久しぶりだね~」
「俺、緊張なんだけどー」
「柳沢には関係ないにょ。お前はしっかり照明をやっとけ」
バシンっと物凄い音をたてて、柳沢先輩の頭を叩いた夏沙先輩。
この2人で漫才でもやったらいいと思うのに。