One STEP
始まりを告げた音
砕けた恋心
あたしは1人、大声を上げて泣いていた。
今にも崩れてしまいそうなほどボロボロの廃校舎の踊り場にて。
廃校舎と同じく、心もボロボロなあたしがここにいる。
あたしは手すりに掴まり力なく俯きながら、必死でこの気持ちを削除しようと試みていた。
普通がこんなに最悪だとは思わなかった。
普通人間は一番最悪だ。
一般に言う、あたしは特徴ゼロな人間。
顔は可愛くもないし、ブサイクでもない。
勉強は出来なくもないけど、出来るわけではない。
運動だって出来なくもないけど、出来るわけじゃない。
全部全部人並み。
それ以上はない。
全部この世にいう〝微妙〟〝中途半端〟という部類に属する。
そんな普通人間。
荒木香澄 高校1年。