One STEP
しかしよくよく考えて見れば、怒るのは琴子じゃなくてあたしの方だと胸を張って言える。
だからあたしは唇を尖らせていじけたように呟いた。
「…琴子がいけないんだよ」
そっぽを向きながらぶーたれるあたしに琴子は小さく笑って言った。
「…まぁ謝るけど」
あれ?
今日は何だかいつもと違うみたい。
素直な琴子が逆に恐いなぁなんて思いながら正面を向きなおした。
そこで琴子はにっこりと怪しげな笑みを顔面に貼り付けると、とてつもなく楽しそうにあたしに問いかけてきた。
「んで、2人抱き合うシーンを妄想して鼻血が出たと?」
その言葉に思わず飛び上がりそうになったのを慌てて堪え、必死に両手を左右にブンブン振り回しながら否定する。
「ちちち違うっ!決して鼻血は出てないっ!」
妄想はしてたのかよ、そう大爆笑する琴子。
はっと気づいたが遅すぎで、馬鹿なことをしたと恥ずかしくなって俯いた。