One STEP
「台本を読めば一通り分かると思うんだけどね。いつもみたいに、役の性格を掴んでそれになりきってやってほしいです。香澄ちゃんは初めてで緊張するかもしれないけど、思い切ってリノアになりきって頑張ってほしいな」
「はい!頑張りまっす!」
今回のあたしはしっかりと言い切った。
大丈夫。
みんながいる。
絶対成功させるんだから。
ちょっぴりの勇気があれば大丈夫。
あたしの周りにはみんながいてくれる。
それだけで、あたしの勇気はMAXに跳ね上がる。
わくわくと。
溢れ出すこの気持ち。
抑えきれないこの感情。
「よっし!それじゃちょっとやってみようか!今日は教室練習。明日は体育館取れたから体育館ね」
弥生先輩の言葉に、みんな一斉に立ち上がる。
あたしは一息遅れて立ち上がった。