One STEP
『あたひっ』
…噛んだっ!!
きっと誰もがそう思っただろう。
教室は一瞬にして、なんとも言えない微妙な空気に包まれた。
カタカタと歯が震えて上手く噛み合わない。
手足の震えもさっきより酷くなって止まらない。
当然ながら、こんな状況で上手く口から言葉が出てくれるはずがなかった。
あたしの顔は青ざめていたに違いない。
立っていることさえも限界で、あたしは足の力を無くしペタリを座り込んでしまった。
視界が一気に色をなくしたかのように真っ白になった。
荒い息遣いだけが脳内に響く。
「だっ…大丈夫っ?」
そんな大変な心境状態にあるあたしの元に、弥生先輩が慌てて駆け寄ってくる。
首をまともに動かすこともできなくて、あたしはずっと俯いたまま。
未だに手足の震えが止まらない。