One STEP
「かすみん」
「…?」
あたしはゆっくりと視線を夏沙先輩へと向ける。
夏沙先輩はとても珍しい、真剣な顔であたしを見つめていた。
「良い声してるんだから、もっと自信持ってみたら?かすみんはもっと自分に自信を持ってもいいと思うよ」
あたしはそんな先輩の言葉を聞いて涙が出そうだった。
けれど今ここであたしが泣くわけにはいかない。
あたしが頑張らなくちゃ、この物語は成り立たない。
プレッシャー。
自分で自分にかけてみる。
分かってる。
こんなのマイナスにしかならないことぐらい。
けれどそれをプラスに持っていくことができたのなら、それは何万力にもなるのだろう。
でも先輩たちを見ていると、あたしだけが頑張っていないみたいな感じがしてしまう。