One STEP
冷温の響き
「今日はもういいからな、落ち着けよ?」
さっき慎也先輩はそう言ってあたしに軽くでこピンをしてきた。
情けないあたしは、ただ首を縦に振ることしかできなかった。
きっと、いや、絶対迷惑をかけてる。
主役のあたしがいなくちゃ、ストーリーが進むのにも限界がある。
あたしは…迷惑をかけている。
足を引っ張っている。
一番嫌だったことがやはり現実になってしまった。
ここにきて、あたしは最悪な展開を迎えてしまった。
あたしは教室の隅っこで、体育座りをして足の間に顔を入れて蹲っていた。
耳からは先輩たちの声が入ってくる。
真剣な声。
自信満々な声。
迷惑をかけている。
こんなにも…キラキラしているのに…
あたしのせいで変わってしまうのが一番嫌だったのに…
結局そうなってしまうんじゃないか。
上手く文化祭までにちゃんとできるんだろうか。