One STEP
「…みっ」
美空先輩。
初めて会った時のように、恐い顔をした美空先輩があたしの腕を掴んでいた。
背筋が震えた。
嫌な汗が流れた。
「話あるんだけどいい?」
先輩の冷たい声。
一番最初に聞いた、あの冷たい声。
あたしは言葉の変わりにゆっくりと首を縦に振った。
あたしと美空先輩は廊下を歩いている。
どこに向かうのか分からない。
あたしはただ美空先輩の後に続いた。
やっぱり怒られるのかな…
幻滅されちゃうのかな…
先輩との約束…守りたいのに、守れないかもしれない…