One STEP
あたし達は空き教室に入った。
誰もいない、声も聞こえない音も聞こえない。
シンと静まり返った空間。
やけに先輩の足音が響く。
あたしは恐くて自分の腕を掴んだ。
悪いのはあたし。
それは分かっているけど、あの冷たい声を聞くのは恐かった。
美空先輩のあの声は…あたしの心に突き刺さるから…
「…なんなのアンタ」
振り向いた美空先輩が突如あたしに放った言葉に、あたしはビクリと跳ね上がった。
怒っている。
初めて会ったあの日がフラッシュバックで蘇る。
当たり前だ。
何もかも、あたしが悪いんだから。
あたしはぎゅっと強く目を瞑った。