One STEP
「どうして何も言わないの?」
何かを言えるわけない。
だって全て悪いのはあたしなんだもの。
もし言えることがあるなら1つ。
ごめんなさい、と謝りの言葉だ。
小さくなったあたしに、先輩は止めることなく言葉をぶつける。
とても冷たい、氷のような声で。
「どうしてって聞いてるのッ!!!」
先輩の怒鳴り声。
あたしはビックリして、一歩後ずさってしまった。
大きく跳ねた肩。
泣きそうになる心を必死に抑えた。
「どうして邪魔をするの?!あたし達は上手くいっていたのに…」
そう言って先輩は俯く。
あぁ…あたしは演劇部を汚してしまった。
一番したくなかったことを…してしまった。