One STEP
あたしはやはりいらなかった。
断っておくべきだった。
こんなことを言われて、何も言えない自分が悔しい。
悲しくて、苦しい。
楽しいだけじゃどうにもならないことはある。
頑張る、そんな気持ちだけでどうにかなるものじゃないことだってある。
あたしは演劇部のみんなが好き。
ちゃんとした一員になりたかった。
だから…〝リノア〟という役を先輩から貰ったんだ。
あたしはまた…逃げる…?
中途半端に、また投げ出す…?
そんなの…一番嫌だ。
嫌なのに上手くいかない。
あたしは小さく拳に力を込めた。
「答えてよ!!アンタはあたし達をどうしたいの?!」
あたしは顔を上げて、先輩を見た。
真剣な眼差しの先輩。